江戸時代の避妊方法って

■　江戸時代の避妊方法って


当サイトは、そろそろ「老舗」の仲間に入りそうなくらい、長くやってるきがします。

避妊は「家族計画」と呼ばれますが、むかしから、人類にとって大事なことでした。
日本が徳川家に統一された幕府の元で国といわれよりむかしから、その地域の部落や「国」にとって人口増は国力を握る鍵。いっぽう、作物の育ちにくい食うや食わずで寒村地帯では人が一人増えることは食い扶持が減るため、口減らしが常態化していたといいます。

それは、高度な避妊法が確立されている現代においても大きなテーマには違いありません。若い男女が十分な知識のないまま性行為をし望まない妊娠をしてしまって、慌てふためくという話はどこにでもあります。

人類の歴史の中で、「避妊」というのは大きなテーマということです。


■　お江戸３００年の男女交流

江戸時代。性に関する倫理観は、現代以上に緩やかなものだったと言われてます。「処女を守る」「貞操」などというようなお堅い感覚を持っている女性は少なかったそうです。娯楽の少ないこともあり、性行為も性の話も貴重な娯楽だったと想像されます。

そうしたことから性行為へのハードルは低く、結果としてかなり高い確率で妊娠をしてしまいます。中には中絶をせざるを得ないケースも多々あったようです。

また、江戸時代には売春が合法的に認められていました。妊娠が仕事の妨げとなる遊郭などの遊女・女郎たちにとって、避妊法はとても重要です。いろんな手段が考えられ実行されていました。

とはいえ、妊娠についての医・科学的な知識などほとんどない時代です。避妊に関しては、迷信に近い方法も含めてずいぶんと幼稚な方法がとられていました。


・洗い流せば何とかなる！

誰もが思いつく方法が洗浄。膣内に入った精子を洗い流しさえすれば妊娠しないと考えられていました。現代でもこの方法をとっているカップルがいるようですが、よほど瞬間的に行動に移さないと無理な話です。

膣内で射精された精子はすぐに子宮内に泳いでいってしまいます。言い方はあれですが、直結したホースの中身はすでに侵入してしまった後なのです。行為の後でいくら洗浄しても間に合うことはまずありません。

江戸時代にはそうした知識なかったため、遊女たちは一所懸命に洗っていたのです。遊郭の浴室やトイレには洗浄用の場所が設けられていました。この方法は、遊郭だけでなく一般の家庭でもとられていたようで、子どもを望まない夫婦や未婚のカップルは行為の後にマメに洗っていたようです。


・コンドームっぽい何かも存在していた

実は江戸時代にもコンドームがありました。男性用に「甲形」（かぶとがた）というべっ甲でつくられた道具がそれです。

ペニスに装着してその内部で射精するという代物なのですが、べっ甲でできていたので装着感は最悪。実用には向いていません。むしろ、「大人のおもちゃ」として遊女相手に活用されてたのが実態だったようです。

魚の浮き袋をコンドームのように用いていたとも言われます。装着感は「甲形」よりマシに思えますが、強度がないために、行為の最中に破れてしまうリスクはかなり高かったと思われます。


・ペッサリーらしきものも

「詰め紙」と呼ばれる柔らかい紙を丸めて女性器の奥に挿入する方法も試されてました。「揚げ底（あげぞこ）」とも呼ばれていたらしいですが、精子の侵入を防ぐという意味ではまさに「江戸版ペッサリー」ですね。膣のなかに入れるので、紙質は重要です。吉野産の「吉野紙」という上質紙が人気でした。

精子の侵入を防ぐという点では一定の効果はあったと考えられます。少なくとも洗浄よりはマシですが、妊娠を確実に回避できるほどの確実性はありません。


・避妊薬もあった

驚いたことに、避妊薬もありました。「朔日丸（ついたちがん）」というのがそれで、毎月一日に飲むと妊娠しないという触れ込みで販売されてました。江戸時代の後期に流行った薬なんですが、効能らしきものはまったくなく、ほとんどサギに近いものだったと考えられてます。


・お灸で避妊できる！？

江戸時代には、２月２日におへその下にお灸をすえると妊娠しないという、まことしやかな説が信じられてました。遊郭・女郎屋などでは、毎年この日になるとみんなでお灸をしていたと伝えられています。
おそらくですが、効果はまったくなかったであろうと考えられます。

ちなみに東洋医学で避妊のツボとされるのは、三陰交（さんいんこう）です。内くるぶしの頂点から指幅4本分上がったところで、骨と筋肉の境目にあります。効果のほどは……試してみてください。


■　結婚と恋愛観

自由恋愛が当たり前になったのは、かなり現代になってからです。江戸時代には結婚は親が決めるものだったので、恋をして結ばれる、ということはほとんどありませんでした。

そうはあっても存在するのが「恋」です。性の垣根の低い時代のこと、恋＝性行為だったかどうか。ともかく、若い男女は倉庫の裏や神社の境内にある林の陰、川沿いにとめた小舟の中などで性行為に及んだそうです。

そういう場所での性交では、上で紹介した怪しげな方法も洗浄法もつかえません。好きあった勢いの男女のこと、ほとんど避妊なしの状態だったことは想像するまでもありません。中絶に至るケースも多かったでしょう。


現代の避妊事情は、コンドームがあるだけでもかなり上等であると感謝したくまりますね。

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